アジア・日本研究コースにおける中国研究の大きな特色は、それが「東アジア」や「ユーラシア」の視野の中におかれて、さまざまな国家・地域や民族・文化の関係の総体として、その近現代史と社会的特質を学ぶことになっていることです。具体的には,以下の三点を挙げることができます。
(1) 広義の「中国」の中の他者ともいうべき香港・台湾や内陸アジアを研究している教員の講義や演習に参加することによって、重層的な「中国」への視点に触れることができます。香港はイギリスの、台湾が日本の植民地であった歴史から、それを通じた内的な関係としての中国対英、対西欧、対日関係の複雑なあり方を学ぶきっかけにもなります。
(2) ユーラシア東部国家としての「中国」という視座は、今日の資源・エネルギーや民族・辺境をめぐる多くの問題を広い視野から考える手がかりを提供するでしょう。
(3) 総合社会科学分科国際関係コースの協力により日本政治外交史、中国近代対外関係史の視座から関係史的視点をえることが可能です。
もう一つの特色は、その総合性です。授業一覧やシラバスに示されるとおり、歴史研究と思想研究から文学・文化研究、さらには社会・民族研究など広範なテーマをカバーするスタッフがそろっており、これらに関連するテーマについての最先端の研究に触れると同時に、学生諸君の広い範囲の知的興味・関心に対応することができます。
最後に、アジア・日本研究コースにはさらに上を目指す諸君のための中国語授業の充実したプログラムが用意されていることを付け加えておきます。