普通、日本の研究は、国民国家としての日本を自明視し、他の国々と並べながら、単独で研究・教育されることがまだまだ多いのが実情です。しかし、ここ地域文化研究分科では、アジアの中に日本をおき、日本とアジアの諸社会との相互関係や比較に力を入れています。1990年代から東アジアでは経済的・人的交流、知的交流の進展のなかで、アジア・日本研究コースの日本研究はその先端を担うべく、同じコース内の朝鮮・中国などの専門家と緊密な連絡を取りながら、研究と教育を推し進めています。
日本とアジアの関係は、現在のわたしたちが考えるよりもより歴史も長く広範なものです。時期的には明治維新以前から、分野としてはせまい意味での政治・外交・軍事・経済だけでなく、思想・文化においても様々な影響があり、人の移動に伴う社会変動ももたらしています。アジア・日本研究コースの日本研究ではそうした世界的拡がりのなかで日本の政治・思想・社会の過去・現在を捉え直したり、ナショナリズムやデモクラシー、変革といった問題を近隣社会との比較のなかで考える授業を展開しています。一国史・現在の国境の枠を前提とした研究ではなく、アジア・世界を視野に入れた日本研究をしようとする学生にとってアジア・日本研究コースは最良の環境を提供する場となるでしょう。